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仙台経済界掲載 総合力生かし、医療用器具洗浄液を開発

2019年02月25日

表面処理を手掛ける㈱ケディカ(仙台市泉区・三浦智成代表取締役)は、歯科医院などで使用する医療器具向けの高性能洗浄液「歯科用アルカリ性洗浄液 ケディクリーンTZK」を東北大学と共同で開発、販売を開始した。

同製品は、19年1月に宮城県内の優れた工業製品を認定する第11回「みやぎ優れMONO」に認定をうけたばかり。また同社は、19年1月に産業の発展、地域経済の活性化に対する貢献で選ばれる「富県宮城グランプリ」も受賞した。

新製品の「ケディクリーンTZK」は、アルカリ性の高性能洗浄液で、たんぱく質の汚れと、治療用歯科セメントを同時に除去できるのが最大の特徴。予備洗浄が不要で、濃度を薄めて調整し、超音波洗浄を行う。

商品開発のきっかけは、同社が東北大学病院(青葉区)のASU(アカデミック・サイエンス・ユニット)のプログラムに参加、付着した治療用歯科セメントなどをブラッシングして除去している様子を見学したことにある。通常、洗浄はたんぱく質を溶かすためにアルカリ性でできているが、治療用歯科セメントはアルカリ性に触れると硬化してしまう、という難点があったからだ。

「病院関係者から、医療用の器具が酸化して黒く汚れてどうしようもない、という声を聞きました。『リーマ』などの歯科用に医療器具は小さくて先がとがった金属製のものが多く、手で扱うと危ない、という側面もありました。今回の開発では、衛生面、安全面等で貢献できているのではないかと思います。」と三浦代表取締役は語る。

 

医療器具の修理業を

「ケディクリーンTZK」は、たんぱく質汚れとセメントの同時除去に加え、洗浄工数低減、薬液コスト低減、環境負荷低減、素材ダメージ低減など多くのメリットがある。また、器具による突き刺し事故がなくなることで院内感染予防も期待できる。

ケディカは、総合表面処理のメーカーで、耐食性や磁性など、さまざまな機能をプラスする表面処理や、ガラス、セラミックなどメッキ処理が難しい素材への表面処理などを主力事業にしてきた。特に、メッキで培ったノウハウを生かすことで、洗浄開発も可能を判断し、約3年半かけて「ケディクリーンTZK」の製品化にこぎ着けた。

製品化に際しては、第三者機関である宮城県産業技術総合センターに検査を依頼。たんぱく質などの器具に付着する有機物汚れ、ナトリウムやカリウムなどの洗浄剤残渣無機物も検出されなかった優位な洗浄剤であることが明らかになった。

「ケディクリーンTZK」の一般市場価格は1万6500円(税別)。さらに、この技術から派生させる形でジェット式洗浄装置に使用可能な洗浄液やアルジネート系印象材剥離剤もラインアップしている。同社の三浦代表取締役は「長年培ってきたメッキの技術と人材のおかげで、総合力で『富県宮城グランプリ』を今回受賞することができました。今は手術器具や医療用のハサミなどに着目しています。18年10月末に『第3種医療器具製造販売業』『医療器具製造業』の許可と登録を完了していますので、医療系事業の拡大を図り、将来的には医療器具の修理業にも取り組んでまいりたいと考えています。」と述べた。