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日本磁気歯科学会 第32回学術大会(Web開催)で講演しました

2022年11月05日

2022年11月5日に弊社の菊地亮が、日本磁気歯科学会 第32回学術大会(Web開催)で講演しました。

「磁石の入れ歯-DMA研究会から保険適用まで-」

菊地 亮
株式会社ケディカ

DMA研究会の発足から42年となり、この間の磁性アタッチメントについて振り返ってみたい。DMA研究会は、1980年6月に3大学、1企業により産声を上げた。初期は、Sm-Co系希土類磁石を開磁気回路で使用し臨床研究が行われていたが、生体内での安全性、磁力の観点から、閉磁気回路を用いたものが1982年ごろから検討され始めた。当時、Nd-Fe-B系希土類磁石はまだ世に出ていなかった。

DMA研究会は、Semi-Openの形をとって次第に会員数が増加し、研究成果を基に1984年日立金属(株)から厚生省への医療機器承認申請を行った。磁性アタッチメントは新医療機器としての審査が行われ、1990年に日本初の磁性アタッチメントが承認されるに至った。

DMA研究会は、1990年12月に開催された第22回で最終回を迎えたが、最終的に10大学、4企業が参加する会員数約100名の研究会に発展した。1991年からは現在の日本磁気歯科学会として、Open化され、今日に至っている。

DMA研究会の成果は、磁性アタッチメントとして各社から発売された。後に使用する永久磁石がSm-Co系からNd-Fe-B系へ切り替わり、吸引力のアップ、小型化がなされた。現時点では3社が製品を供給している。2006年にNEDOグラントのテーマとして磁性アタッチメントの国際標準化が採択され、2012年には日本発のISO規格(ISO13017:2012)登録となり、2015年にはその追補版が登録となった。
2017年にはそれらを統合した形でのJIS規格(JIST6543:2017)が制定され、2020年にはISOの統合版(ISO13017:20202nded.)が登録となった。また、JIST6543:2017は、2020年から医療機器認証規格に採用されている。

また、2019年、厚労省に医療技術評価提案書が申請され、磁性アタッチメントが保険導入すべき医
療機器として採択された。これに伴い、弊社から保険適用申請を行い、2021年9月から磁性アタッチメントが保険適用となった。保険導入により、磁性アタッチメントを使用する先生が急激に増加した。暫くは、使用方法を理解いただくまで、多くのご質問をいただくことと思われる。

磁性アタッチメントは、歯にやさしい義歯維持装置であり、適応症例を見極め、クラスプと上手く棲み分けをして義歯の維持装置のスタンダードになっていってほしいと願っている。